脊髄損傷などの重篤な怪我も。マッサージや整体の施術は、受ける前に情報収集を
マッサージなどでの被害相談が増加
マッサージ・指圧・整体・
カイロプラクティックなどを総称して、
「手技による医療類似行為」と呼びます。
これらの利用者は多く、
厚生労働省による2011年のアンケート調査では、
これまでにマッサージを利用したことがあり
現在も利用することがあると答えた人は32.8%、
整体、カイロでもそれぞれ26.8%、16.0%と、
非常に高い割合を示しています。
そして、これらの医療類似行為により、
身体的危害を受けたとする患者も増加傾向にあります。
2012年度、国民生活センターや
消費生活センターに寄せられた、
マッサージや整体などによる被害相談が
過去最多であったことがわかりました。
不適切な施術による深刻な受傷
これまでも、重症事故が起こっているとして、
国民生活センターから地方自治体などに
度々通知が行われていました。
具体的には、施術を受けたことによる症状の悪化
のみならず、指圧マッサージによる肋軟骨骨折、
カイロプラクティックによる頸椎捻挫、
整体による腰椎の損傷など、
深刻な受傷事例が発生しています。
結果的に他の医療機関を受診せねばならず、
全治1ヶ月以上を要する事例もあり、
患者に身体的・精神的・そして金銭的にも
大きな負担を課しています。
法的資格を必要としない整体・カイロプラクティック
医療類似行為のうち、
あん摩マッサージ指圧と柔道整復には、
法的な資格制度がありますが、
その他の施術については、
法的資格制度が存在しません。
利用の多い整体もカイロプラクティックも、
特に資格を持たない者が施術することが可能なのです。
整体・カイロについては、
「脊椎の調整を目的とする」という概念でとらえられ、
区分けされているにも関わらず、
資格制度が存在しないというのは理解に苦しむ話です。
また、資格が必要なはずの「マッサージ」
という看板を掲げていながら、
無資格である施術所が増えています。
利用者には判断することが難しく、
気軽に選択してしまいがちです。
医療事故同様、因果関係の立証が困難
このような施術により受傷したり
体調不良を起こしたりした場合、
因果関係の立証が難しく、
損害賠償請求もままならず泣き寝入りとなるケースが
多いのが現状です。
マッサージや整体などを、
つらい持病の治療や疲労の回復に上手に役立てるのと同時に
私達は事前に情報収集を怠らず、
自己防衛を行う必要があります。
利害関係のない人からの評判を聞いたり、
虚偽・誇大広告を出していないか調査するなど、
まず自分でできることをしてから、
施術施設を選択しましょう。