働き盛りの世代に、尿路結石が増加中。体質により何度も繰り返す人も
男性の7人に1人が一度は経験する・・・?
尿路結石といえば、「冷や汗が出るほど痛い」
「ビールをたくさん飲んで、おしっこと一緒に出す必要がある」
といった体験談を耳にしたことはあるかもしれませんが、
罹りやすい生活環境や原因については、
あまり思いをめぐらすことはないですよね。
しかし、食事の欧米化が進んだ現代では
患者数が増加の一途を辿り、
40年前と比べて約3倍になっています。
特に男性の患者は女性の約2.5倍にのぼり、
7人に1人が一生のうちに一度は経験するといわれるほど、
ポピュラーな病気です。
結石ができやすい体質もありますが、
生活習慣の改善である程度防げますので、
男性は30代、女性は40代にさしかかったら、
少し注意してみませんか。
腎臓から膀胱の間のどこかにできる「石」
尿路結石とは、尿が造られてから排出されるまでの
経路のどこかにできる石のことです。
結石の生じる部位は、上部尿路(腎臓、尿管など)と
下部尿路(膀胱、尿道)で、
95%以上は上部尿路に発生します。
尿の中で飽和状態となったシュウ酸カルシウム、
リン酸カルシウム、尿酸などが結晶化し、
その周りにさらにシュウ酸などが付着して
結石は大きくなります。
なんらかの理由で尿路が変形し尿の流れが
スムーズでなくなったり、
特定の疾患やホルモンの分泌異常により結石が
できやすくなることもありますが、
多くの場合は食生活が大きく影響していると考えられます。
食生活の改善で予防・再発防止を
日本人の食生活は、
この数10年で大きく変化してきました。
肉や卵などの動物性たんぱく質を大量に摂取し、
夕食に最もボリュームを置く欧米型の食生活が、
尿路結石の患者数を底上げしたことは間違いありません。
動物性のたんぱく質や脂肪の摂取を控え、
野菜や果物をたくさん食べましょう。
結石を抑制するクエン酸やマグネシウム、
食物繊維などの成分は、
野菜や果物に多く含まれています。
但し、ほうれん草やたけのこのような
アクの強い野菜はシュウ酸の含有量が多いので、
ほどほどに。
塩や砂糖は尿中カルシウムを増加させる働きがありますので
薄味を心がけたほうがよさそうです。
また、体内の水分量が少ないと尿の量も少なくなり、
結石ができやすくなります。
特に、大量の汗をかく人は、
身体が常に脱水気味になっているので注意が必要です。
意識的に水分を補給するようにしましょう。
なかなか難しいかもしれませんが、
1日に2リットルが理想です。
できれば健診で発見したい・・・
小さな石なら、知らないうちに
尿と一緒に自然に排出されることもありますが、
たいていの場合は突然激痛に襲われ、
病院に転がり込んで尿路結石と判明します。
それは「今までに経験したことのない痛み」
「お産より痛かった」などと表現されるほどの激痛です。
大きさやできる場所によっては、血尿が出ることも。
結石のタイプや形態、
大きさなどによって治療方法は異なりますが、
放置すると感染症や腎盂腎炎などを併発し、
最悪の場合は腎臓摘出にも繋がりますので、
定期的な健診や早めの受診が必要です。