向精神薬の安易な使用は危険!その依存症はコカインよりも離脱が困難。恐ろしい薬物依存。
向精神薬依存症患者が増えている
薬物依存症患者のうち、向精神薬の服用による発症の割合が、
平成12年から24年の12年間で約2倍になった
との報道がありました。
これは、国立精神・神経医療研究センターの調査によるもので、
向精神薬の安易な処方と使用の実態が明らかになった
といえるでしょう。
先日、芸能界への復帰を果たした華原朋美さんも、
睡眠薬などの薬物依存症について「100%治ったとは
思っていない」と発言していました。
長い時間をかけ、強い意志で取り組んでも、
なかなか抜け出せないのが薬物依存です。
向精神薬とは、睡眠薬や抗不安薬などの総称
中枢神経に作用し、精神活動になんらかの影響を与える
薬物を総称して「向精神薬」と呼びます。
コカインやLSDなどの麻薬と呼ばれる薬物も、広義では
向精神薬に分類されますが、多くは精神科や心療内科などで
処方される治療のための薬を指します。
睡眠薬や抗精神病薬、抗不安薬と抗うつ剤が含まれ、
どれも正しく使用すれば治療効果が期待できる薬剤ですが、
向精神薬依存症のからの離脱は、ヘロイン依存症よりも困難と
指摘する専門医もいます。
ネットで流通…処方薬転売の闇
向精神薬は医師の処方がないと入手できないはずですが、
インターネットで検索すると、いとも簡単に売買の情報が
ヒットします。
何軒もの精神科医をはしご受診して、処方された向精神薬を、
治療目的以外に使用する「客」に転売しているのです。
何故このようなことが起きるのでしょうか。
向精神薬は、服用することで興奮状態になったり、
ある種の快感を得られる場合があります。
それを遊び目的で入手して乱用する者がいるのです。
一方、このような性質の薬であるのにも関わらず、
口頭で不眠や不安感を訴えるだけで、
安直に処方する病院があります。
希望されれば、同じような効果の薬を何種類も処方することも。
そのため、医療費が無料の生活保護受給者に病気を装わせて、
大量に向精神薬を入手する密売組織も存在しています。
依存患者を生み出しやすい社会全体の問題
眠れない、気分がふさぐ等の症状は、多かれ少なかれ
誰しもが経験していることでしょう。
精神科を受診するハードルが低くなったのは良いことですが、
何にでもすぐ病名を付けたがる傾向が、
患者と医師の双方に見られるのではないでしょうか。
治療を薬剤にばかり頼り、
平気で長期にわたって処方し続ける医師にも、
一人の患者が複数の医療機関で同じような薬の処方を受けていることが
明らかにならないようなシステムにも問題があります。
また、薬物依存の恐ろしさを、もっと広くわかりやすく
啓発していくことが、国家としての急務でもあるでしょう。