自閉症の治療は腸内細菌が鍵?自閉症について知りましょう。
自閉症とは?
自閉症という言葉を聞いたことがあると思います。
「自閉症」というと、うつ病や引きこもりのような状態や
他人に対して心を閉ざしてしまう病気と思われがちですが、
これは大きな誤解です。
自閉症はうつ病のような心の病気ではなく、
脳の機能障害による発達障害なんです。
自閉症の脳機能障害は先天性によるものと言われていますが、
その具体的なメカニズムは
解明されていない部分も多いのが現状です。
自閉症の主な症状には3つあります。
1つ目は、対人交渉の質的な問題です。
簡単に言うと、自閉症の人は自分と相手との関係性を
正しく理解することができないため、
他人との関係性を築く上で不適切な行動を取ってしまうんです。
2つ目がコミュニケーションの質的な問題です。
言葉の発達に遅れがあったり、
言葉を話せても意味を正確に理解できていない、
場面に合った言葉が出てこない、
自分の好きな言葉を繰り返すといった症状が特徴的です。
3つ目は活動と興味の偏りです。
自閉症は脳の想像力を働かせる部分に障害があるため、
ちょっと変わった行動を取ったり、
臨機応変に対応する能力が欠如していることがあります。
自閉症の子供が増えている?
近年、自閉症と診断される子供が急速に増えているんです。
一昔前は、自閉症は2000人に1人程度と言われてきました。
でも、最近は典型的なタイプの自閉症の子供は1000人に2~6人、
典型的ではない軽症タイプの子供も含めると
100人に1人は自閉症と推測されています。
そして、2010年にアメリカの疾病予防管理センターが行った調査では
アメリカの子供の68人に1人は
自閉症と診断されたことがわかりました。
また、この調査で
男児は42人に1人が自閉症と診断されたのに対し、
女児は189人に1人だけだったため、
男児は女児より自閉症のリスクが約5倍も高いことがわかっています。
なぜ、自閉症の子供が増えているんでしょう?
これは、3つの理由があるとされています。
1つ目は自閉症の診断基準が変わったことで、
自閉症と診断される子供が増えたことです。
2つ目が自閉症の認識が広がったことで、
親が自閉症を疑って専門機関を受診させるケースが増えたため、
自閉症と診断されることもが増えたと考えられます。
3つ目が、親の年齢が上がったことです。
日本でも結婚年齢、出産年齢が上がっていますよね。
40歳以上の父親から生まれた子供は、
30歳未満の父親の場合の約6倍も
自閉症のリスクが上がることがわかっています。
自閉症治療は腸内細菌が鍵?
自閉症は脳の機能障害であることがわかっていますが、
有効な治療法は確立されておらず、
基本的に行動療法で治療が行われています。
でも、アメリカのカリフォルニア工科大学の研究で、
自閉症治療の鍵となる発見があったんです。
その鍵とは、腸内細菌です。
「善玉菌」、「悪玉菌」、「腸内環境」など
腸内細菌は近年注目を集めていますよね。
その腸内細菌が自閉症にも関係しているようなんです。
カリフォルニア工科大学の研究で、
健常児と自閉症児では腸内に生息する微生物に
著しい違いがあることがわかり、マウスを用いた実験で、
試験的なプロバイオティクス療法によって
マウスの自閉症様行動が軽減したとのことです。
そして、既に臨床試験の準備に入っているそうです。
プロバイオティクス療法とは、人体に良い影響を与える微生物、
つまり善玉菌を腸内に増やす治療法です。
プロバイオティクス療法は、
体への負担がないことも大きなメリットですよね。
今後、この研究がさらに進めば、
自閉症が簡単に治療できるようになるかもしれませんね。