糖尿病になるとどうなる?糖尿病によって引き起こる病気について知りましょう。
糖尿病の3大合併症
生活習慣病の代表とも言える糖尿病ですが、
糖尿病自体は激しい痛みがなどの症状があるわけではありません。
それでも、糖尿病が恐ろしい理由は合併症があるからです。
糖尿病の代表的な合併症は糖尿病性腎症、
糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症があり、
この3つを糖尿病の3大合併症としています。
糖尿病性腎症になれば、腎機能が低下していきます。
糖尿病になると、尿量が増えて口渇感が出てきますが、
これは腎機能が低下して尿の水分を
きちんと再吸収できていないことが一因なんです。
腎機能の低下が進めば、
腎不全になって腎臓がまったく働かなくなります。
そうすると、人工透析を導入するしかありません。
通常、人工透析は1回4~5時間かかり、
それを週3回休まず行わなくてはいけません。
また、神経障害になれば、脚が壊疽しやすく、
下肢の切断をすることもありますし、網膜症になれば視力が低下し、
網膜はく離や緑内障などの併発して
失明にいたることもあるんです。
糖尿病でアルツハイマー病に?
糖尿病になると、3大合併症になるリスクが
上がるだけではありません。
糖尿病はアルツハイマー病のリスクを上げる危険因子なんです。
アルツハイマー病は、
脳内にアミロイドβというタンパク質の一種が蓄積して、
脳神経を圧迫することで、
物忘れなどの認知症を発症する病気です。
アルツハイマー病の原因とも言えるアミロイドβの分解は
インスリンが関与していることが近年の研究で
明らかになっています。
つまり、インスリンが十分に分泌されていれば、
アミロイドβは蓄積しにくいのですが、
糖尿病になってインスリンが不足したり、十分に働かないと、
アミロイドβが蓄積してアルツハイマー病のリスクが
上がってしまうのです。
九州大学の研究調査によると、糖尿病とその予備軍の人は、
そうでない人に比べてアルツハイマー病の発症リスクは
4.6倍も高いことがわかっているんです。
近い将来、糖尿病の合併症は3大合併症に
アルツハイマー病を加えた「4大合併症」になるかもしれません。
糖尿病でがんのリスクが上がる
糖尿病はがんのリスクも上昇させます。
厚生労働省研究班が2006年に発表した調査研究では、
糖尿病の既往がある人は、
既往がない人に比べるとがんの発症リスクは男性で1.27倍、
女性で1.21倍と高いことがわかりました。
男性では特に肝臓がん(2.24倍)、腎臓がん(1.92倍)、
すい臓がん(1.85倍)が高く、
女性では卵巣がん(2.24倍)、肝臓がん1.92倍、
胃がん(1.85倍)が高くなっています。
なぜ糖尿病になると
がんのリスクが上がるのかは解明されていませんが、
高血糖によるインスリンの増加やそれに伴う
IGF-1(インスリン様成長因子)の増加が、
各臓器に悪影響を与えるのではないかと推測されています。
高血糖、糖尿病は百害あって一利なしです。
食生活などの生活習慣に気をつけて、
糖尿病を予防するようにしましょう。