充分な睡眠時間をとっているのに、日中眠い。それは『睡眠時無呼吸症候群』で眠りが浅いせいかもしれません
体調は悪くないが、日中の眠気がひどい
若い頃から寝る間を惜しむように
激務を続けてきたAさんは、もうすぐ50歳。
ストレスが避けられない役職にあり、
肩身の狭い思いをしながら喫煙所で
煙草を吸うような毎日です。
仕事の付き合いで酒の席も多く、晩酌も楽しみます。
なかなか運動をする暇もなく、
メタボ気味なのを気にはしています。
睡眠については、中年にさしかかる頃から
健康の源は正しい睡眠、と見直すようになりました。
睡眠時間をきちんととり、睡眠のリズムが狂うので
休日も寝過ぎないよう気をつけています。
それなのに、近頃なんだか眠くて仕方がない。
以前は午前様でもなければ、
仕事中に眠くなるなど考えられませんでした。
Aさんは、若い頃に無理をしすぎたツケかな、
一度は人間ドックに入らなくちゃな…なんて考えています。
日中眠気が強いのと
少し風邪をひきやすいこと以外には、
特に健康上問題はなく、
今もバリバリと仕事に励んでいます。
睡眠時無呼吸症候群にかかりやすいのはこんな人
このような、どこにでもいそうな中年男性Aさんですが、
実は「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」に
罹患しやすい条件がいくつも当てはまっています。
SASには、
睡眠中に呼吸自体が止まってしまう「中枢型」と、
呼吸をしようとしても空気の通り道が塞がってしまう
「閉塞型」があり、ほとんどは閉塞型で、
気道が狭くなることで起きています。
中年以上の男性に多く、
体型・体質的には肥満気味で首が太く短い、顎が小さい、
歯並びが悪い、扁桃腺が腫れやすい
高血圧や高脂血症などの既往症があるといった人が
かかりやすい疾患です。
喫煙、飲酒、暴飲暴食の習慣がある人、
運動不足気味の人も注意が必要で、
またストレスもSASを引き起こす大きな原因であると
言われています。
自分では気付きにくい睡眠中の呼吸停止
SASは、睡眠時に呼吸が停止することで
体内の酸素が減少し、脳や心臓、
その他の部位にも大きな負担がかかります。
日中の強い眠気や倦怠感、集中力低下は、
仕事の効率が落ち、下手をすれば事故の原因にも
なりかねない重大な弊害です。
疲労だけなら年齢的な理由も考えられますが、
その他に頭痛や口渇感があるようなら、
SASを疑って一度受診してみましょう。
家族が、この頃いつも眠い、だるいと訴えていたら、
眠っている間呼吸が止まっていないか、
いびきや寝言はひどくないか、確認してあげてください。
睡眠時のみに起きるという特殊な症状であるため、
自分では気付きにくいのがこの病気の厄介なところです。
現在、医療機関で
治療を行っている患者数が20万人程度なのに対し、
潜在患者は200万人ともいわれています。
きちんと知ってきちんと治そう
SAS患者の増加を受け、寝具メーカーの丸八真綿と
コラボした睡眠・呼吸器専門クリニック
「RESM(リズム)新横浜」が開院したり、
患者や家族に向け情報を発信する
「無呼吸なおそう.com」というSAS情報サイトが
開設したりと、今年に入って様々な動きが見られます。
簡易キットを使い5,000円程度で自宅でできる検査も
ありますので、少しでも心当たりのある人は、
SASの早期発見に役立て、
良質な睡眠を取り戻して欲しいものです。