食品による窒息には、周囲の素早い対応が必須。異物除去の正しい方法とは
年々増加傾向にある食品窒息事故
毎年、年末年始になると餅による窒息事故が報じられます。
平成19年から平成23年までの5年間で、
餅・団子などによる窒息事故で救急搬送された人の
約90%が65歳以上でした。
中等症(生命の危険はないが入院が必要)以上の診断が
されたのは全体の71%にも及び、
深刻なケースも少なくありません。
こんにゃくゼリーによる窒息事故が社会問題になったり、
最近では、保育園や小学校の給食で出された
白玉団子による事故が相次いでいます。
これらの事故はなぜ起こり、
時には死亡事故に発展してしまったのでしょうか。
噛む力、飲み込む力に合わせた食事を
窒息事故が高齢者に多いのは、
飲み込む力が弱くなっているだけではなく、
歯が弱り、顎の筋肉も衰えて咀嚼力が落ち、
また唾液の分泌量が減ることも関係しています。
唾液が少ないために餅などの粘り気が残っている状態で、
細かく噛み砕く前に飲み込んでしまい、
喉につまらせます。
高齢者は、咳き込んで異物を吐き出す力も弱く、
うまく排出できずに大事に至ってしまうのです。
小さい子供も同様に、まだ歯が生え揃っておらず、
喉や食道も未発達で、食品を喉に詰まらせやすいので、
月齢にふさわしい食品を与えることが大切です。
躾の問題でもありますが、口に物を入れて喋ったり、
食事中に歩き回ったり遊び始めてしまうことのないよう
周囲の大人がしっかりと指導しなければなりません。
それでももし事故が起こってしまったら
目の前で誰かが喉に食品を詰まらせた時、
周囲の人が第一に心がけるべきことは
「ためらわないこと」です。
ためらわずに119番に電話して救急車を呼び、
早急に手当てを行います。
本人に意識があり、呼吸ができている場合は、
まず咳き込んでもらうように呼びかけます。
それでも取れなければ、
救助者は立て膝をして「くの字」になるように窒息者の
お腹を載せて背中を叩きます。
乳児の場合は、顎を片手で支えなければなりません。
また、窒息者が身体の大きな人なら、
膝の代わりに椅子を利用してもいいでしょう。
呼吸ができていない(喉が完全に詰まっている)場合は、
5~6分で意識を失い危険な状態に陥ります。
上記の方法と共に、口をこじあけてみて
異物が見えれば手で取り出したり、
掃除機を使って異物を吸い出したりしなければなりません。
掃除機を使う場合は、先端の細いノズルをつけて、
しっかり奥まで差し込んでスイッチを入れないと、
舌などを吸い込んで危険です。
できるだけ119番と電話がつながった状態で、
指示を仰ぎながら行ったほうが安心です。
いずれにせよ救助者は躊躇せず、機敏に行動してください。