混合診療は是か非か。政府による拡大実施計画が閣議決定された今、改めて考えてみませんか
政府の検討課題とされた「混合診療」
2013年6月、政府による規制改革実施改革の一端として
保険診療と保険外診療を併用する
「混合診療」の対象となる治療を拡大していく方針が
発表されました。
これまでは、同一の疾病に対する治療の中に
保険適用外の治療が含まれている場合、
その疾病に関わる全ての治療が保険適用外となり、
全額自己負担を強いられてきました。
例えば、ガンの治療で日本では
未認可の抗ガン剤を使用した場合、
このガン治療のために使用する薬も、
通常なら保険が適用される別の治療を受けていたとしても
全てが10割負担となるのです。
今回発表された方針は、保険診療と保険外診療の併用を
例外的に認めようというもので、秋ごろから、
まず抗ガン剤の分野を解禁することを目指しています。
全面解禁を求める声と、根強い反対意見
この方針については、
両極端に別れる賛否両論の議論が起こっています。
実際に保険外診療を必要とする患者の立場に立ってみれば、
解禁は願ってもないことでしょう。
現時点で保険外診療を継続的に受けているならば、
他の部分だけでも保険が適応されれば、
医療費を大幅に減少させることができます。
また、経済的理由から保険外診療に踏み切れなかった人も、
治療の選択肢が広がります。
一方、反対意見の多くは、日本の国民皆保険制度では、
基本的に全ての医療が保険で受けられるべきで、
混合診療が解禁されていけば、
収入の格差が医療内容の格差にもつながることを
懸念しています。
また、混合診療になれば自由診療の時よりも
保険外診療の利用者は増え、
医療機関や製薬会社は儲かるので、
既に保険が適用されている治療についても
今後適用外とされたり、
本来ならば認可されるべき治療や薬品の認可が
申請されないのではないかと言うのです。
日本の医療界がそのような低い志で日々患者と
向き合っているとは思いたくありませんが、
このような考えから混合診療に反対する意見は、
各方面に存在します。
特定の患者や特定の医療機関・企業の問題ではない
この問題は、医療を離れてTPPや経済の問題、
そして政治と絡めて語られることが多く、
その点を無視できないことも事実です。
しかし本来であれば、
誰よりも患者目線で語られなければならない問題です。
日本は、海外と比較して新薬などの承認に非常に時間がかかり
4年近く遅れているとされています。
既に国際標準になっている薬や治療方法も、
日本では保険が適用されていないという現実があるのです。
実際に解禁となれば、保険外診療費の高騰や医療格差、
質の低い診療内容の混入など、懸念される問題は山積みです。
こういった点の法規制も同時に議論され、
国民ひとりひとりが意識を持たねばならない重要案件なのです。