強力に虫を排除する虫よけスプレーや虫よけシート。人体やペットへの影響は?
どんな虫にも効いてしまう虫よけ剤
「く、くるし~、やめて…」
先日、虫よけを使わないでと訴える、
多摩動物公園・昆虫館の
“虫からのお願い”が話題になりました。
お客さんが館外で虫よけスプレーをかけてくるぐらいは
なんともないのですが、
腕時計タイプの携帯式虫よけ器のスイッチを
ONにしたまま入館する人が後を絶たず、
看板やTwitterを使っての“お願い”となったようです。
次々と登場する人間界の便利グッズも、
虫たちにしてみれば、とんだ災難でした。
健康に影響は?気になる殺虫成分
最近は、ぶらさげておくだけで数ヶ月~半年以上もの
虫よけ効果が持続するシート式の虫よけや、
部屋の四隅にスプレーすれば半日以上は
蚊を寄せ付けないスプレー式蚊取りなど、
強力な虫よけ製品が続々と登場しています。
かつての虫よけ製品の代表選手、蚊取り線香は、
除虫菊という植物を使用していることで有名でした。
現在では、除虫菊の成分に似た合成の薬品を
使用している製品がほとんどです。
肌に直接噴射するスプレーも含め、
虫を寄せ付けない製品には、
他の生き物にとって害になる成分は
含まれていないのでしょうか。
虫にしか効かないピレスロイド
蚊取り線香、蚊取りマットやノーマット、
吊るして使うタイプの虫よけシート、
一日に一度部屋にスプレーするタイプの虫よけなどには、
多くの製品に「ピレスロイド」系薬剤が使用されています。
除虫菊の天然殺虫成分「ピレトリン」に似た化学化合物で、
薄い濃度で使用すれば忌避効果、
濃い濃度では殺虫効果があるので、
ゴキブリなどの殺虫剤にも使用されています。
哺乳類や鳥類の体内に入った場合はすぐに分解され
短時間で排出されるので、ほぼ無毒であり、
安全性は高いとされます。
それでもペットや赤ちゃんへの影響が気になる家庭では、
虫が嫌がる香りの天然精油やハーブ成分のみを
使用しているタイプの製品を選ぶとよいでしょう。
赤ちゃんには直接スプレーしないで
2005年に、厚生労働省において
「ディート(忌避剤)に関する検討会」が開催されました。
ディートとは、
多くの虫よけスプレーなどに使用される成分です。
昆虫がこの臭いを嫌うことを利用して、
当初はアメリカでジャングルでの戦闘を想定した
軍事用の虫よけとして開発されました。
人間の健康を大きく脅かすことはないとされていますが、
アレルギーや肌荒れを起こす場合もあるということで、
医薬品のメーカーや薬局に対して、
「使用上の注意」の改訂や、
消費者への情報提供などに努めるよう要請がありました。
特に小児への使用には、直接噴射せず
大人の手のひらで薄く延ばしてから顔以外に塗ることや、
長時間の使用を避けるなどの使用法が推奨されています。