突然胸の痛みが出る狭心症。狭心症とは、どんな病気なのか知っていますか?
狭心症とは?
心臓は24時間365日絶え間なく、
生まれてから死ぬまでずっと動いていて、
酸素や栄養分をたっぷり含んだ血液を
全身に送り出しています。
心臓の筋肉は、
全身の隅々にまで血液を送らなくてはいけないので、
強い力で収縮と拡張を繰り返しています。
つまり、心臓はハードワークを
休みなく続けなくてはいけないのです。
そのため、心臓はたくさんの酸素と栄養分が必要になります。
心臓の筋肉に酸素と栄養分を供給している血管が、冠動脈です。
もし、冠動脈が何らかの原因で詰まってしまったら、
心臓の筋肉に必要な酸素と栄養分が供給されなくなりますので、
細胞が死滅して動かなくなってしまいます。
心臓が動かなくなれば、当然死んでしまいますよね。
この状態が心筋梗塞です。
狭心症は、心筋梗塞の一歩手前の状態のことを指します。
つまり、冠動脈は詰まるけれど、それは一過性のもので、
また血流が再開するんです。
ただ、一時的とはいえ血管が詰まってしまいますので、
その発作が起こったときには強い胸痛や
胸が締め付けられるような感覚、呼吸困難や動悸、
頭痛などの症状が現れます。
狭心症の種類
狭心症には、いくつかの種類があります。
まず、安定型狭心症か不安定型狭心症かで分類できます。
安定型狭心症とは
発作の起こり方が安定している狭心症のことで、
不安定型狭心症は最近発症したり、症状が増悪していたり、
発作の起こる条件が一定ではない狭心症のことです。
安定型狭心症には、
運動などで体を動かした時に発作が起こる
労作性狭心症が含まれます。
不安定型狭心症には、安静狭心症と異型狭心症があります。
安静狭心症は、
労作がストレス等に関係なく発作が起こる狭心症で、
異型狭心症は冠動脈が痙攣することで起こる狭心症で、
発作は労作に関係なく、
深夜から早朝に起こることが多いという特徴があります。
狭心症の原因は?
狭心症の原因は、異型狭心症とその他の狭心症で異なります。
異型狭心症は、冠動脈が痙攣して細くなったり、
詰まってしまうことが原因です。
痙攣の原因は、まだ解明されていない部分が多いのですが、
冠動脈の血液の流れに応じて血管を拡張させたり、
血小板の凝集や血液の凝固を抑える作用を持つ物質の分泌が、
加齢により減少して、
冠動脈の痙攣が起こりやすくなると言われています。
異型狭心症以外の狭心症の原因は、ズバリ動脈硬化です。
高コレステロール血症などにより、
冠動脈の内壁にコレステロールがこびりついて、
血管が細くなり詰まってしまうんです。
狭心症の治療法
狭心症の治療は、3種類あります。
1つ目が薬物療法です。
冠動脈を拡張させる薬剤を内服することで、
狭心症の発作を予防します。
2つ目が経皮的冠動脈形成術です。
この治療法は冠動脈内にバルンを入れて、
狭くなった血管を押し広げるものです。
3つ目が冠動脈バイパス術です。
これは、狭くなった血管の先にほかの血管をつなげることで、
血流を保つ手術です。
これらの治療法以外に、
新たな治療法が開発されるかもしれません。
東北大学大学院医学系研究科循環器内科分野の
下川教授らの研究グループは、
特定の条件の超音波に血管新生作用があることを発見し、
この超音波による狭心症の治療法の開発を開始した
との発表しました。
この超音波での狭心症治療が可能になれば、
治療による体への負担は最小限となりますので、
手術に耐える体力がない高齢者の治療も可能になります。
ただ、狭心症は動脈硬化などの生活習慣病と
深い関わりがありますので、
新しい治療法に期待するのではなく、
まずは日常の生活習慣からしっかり予防していきたいですね。