「がんが不治の病、がんの治療は体への負担が大きい」のは昔のこと?がん医療の最新事情を知りましょう。
がんは不治の病ではない!
日本人の死因の第1位は、がん(悪性新生物)です。
日本人は2人に1人はがんにかかり、
3人に1人はがんで亡くなると言われています。
日本人にとって、がんはとても身近な病気であり、
誰でもがんになる可能性があるんです。
がんはどうしても「死」のイメージが付きまといます。
一昔前は、がんは不治の病でしたが、
医療が発達している現在では、
がんは完治可能な病気になっています。
がんは治療効果を表すための指標として、
「5年生存率」がよく使われますよね。
5年生存率とは、最初にがんの治療を始めてから
5年後に生存している人の割合を意味しています。
がんのほとんどは、
5年間再発がなければ治癒したとみなすので、
5年生存率がよく使われるんです。
では、日本人に多いがんの5年生存率を見てみましょう。
日本人男性は胃がん、肺がん、大腸がんの罹患率が高く、
女性は乳がん、大腸がん、胃がんの順になっています。
胃がんの5年生存率は70.4%。
肺がんは 大腸がんは73.4%。乳がんは90.0%となっています。
がんの部位によって差はありますが、
意外に高い数字だと思いませんか?
そして、この5年生存率は全症例での数字になりますので、
ステージ1で発見できれば、さらに数字は上がります。
乳がんや大腸がんは、ステージ1で治療を始めれば、
5年生存率は98%以上になるんです。
この5年生存率を見れば、
がんは不治の病ではないことがわかりますよね。
免疫療法は第4の治療法
がんの主な治療法は3つあります。
手術療法、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法です。
この3つの治療法は「がんの3大療法」と呼ばれています。
最近は、この3大療法に加えて、
もう1つ免疫療法が注目を集めています。
免疫療法とは、体の免疫力を上げて、
がん細胞を死滅させる治療法です。
健康な人でも、
がん細胞は1日に数千個も発生していると言われています。
ただ、そのがん細胞が増殖しないのは、
がん細胞の増殖力よりも免疫力が勝っているからです。
何らかの原因で免疫力が低下したり、
がん細胞の増殖力が免疫力に勝った場合にがんを発症しますが、
一度発症したがんでも、治療によって免疫力を上げて、
がん細胞を死滅させる治療法が免疫療法なんです。
この免疫療法は、従来の3大療法に比べて
体への負担が少ないというメリットがあります。
また、最近ではがん治療に有効になるほど、
免疫力を上げる手法が進化してきていて、
免疫療法は「第4の治療法」と言われるようになっています。
新たな治療法に期待!
3大療法に加えて免疫療法が注目を集めていますが、
さらに新たな治療法が開発されるかもしれません。
アメリカのシカゴ大学の中村教授の研究チームは、
がん細胞の増殖で重要な役割を果たす
「TOPK」というたんぱく質に注目し、
このTOPKの働きを阻害する化合物を探し出しました。
その化合物を肺がんのマウスに週2回3週間注射したところ、
肺がんが完全に消えたとのことです。
しかも、最初は白血球が減少するなどの副作用が見られましたが、
化合物に改良を加えたら、その副作用は小さくなったとのことです。
この化合物を人間のがんにも応用することができれば、
副作用が少なく、
効果が高い新たながんの治療法が確立されることになります。
今後もがんの新たな治療法が開発されていくことに
期待したいですね。