虫垂って実は重要な器官だった?虫垂について詳しく知りましょう。
虫垂って何?
体の中の虫垂という部位があることを知っていますか?
「虫垂」という言葉だけを聞くと、
いまいちピンとこないかもしれませんが、
「虫垂炎」と聞くと、
あぁ「盲腸ね」と思い浮かぶ人もいるでしょう。
厳密には虫垂と盲腸は違う部位ですが、
子供のころに虫垂炎になったことがある、
虫垂炎で手術をしたことがある人もいると思います。
右下腹部の大腸の入り口にある盲腸から
細く長く飛び出しているものが虫垂です。
虫垂はリンパ小節が集まってできているもので、
ここに何らかの原因で炎症が起こると、虫垂炎になるのです。
一昔前は、虫垂炎になると
手術をして虫垂を取り除くのが一般的でしたし、
そのほかの病気で腹部の手術をした場合、
虫垂に問題がなくても「将来、虫垂炎になると困るから、
虫垂を取っておきました」ということも珍しくありませんでした。
簡単に虫垂を取ってしまうのは、
虫垂は特に健康のための役割を果たしていない、
何の役割も担っていない器官だと思われていたからなんです。
虫垂は免疫機能に関係?
一昔前は、虫垂は何の役割も担っていないと思われていましたが、
近年の研究で、それは大きな誤解であることがわかりました。
虫垂は健康維持のために、大きな役割を果たしていたんです。
虫垂は免疫機能や腸内細菌のバランスに
大きく関与していることがわかりました。
大阪大学大学院医学系研究科感染症・免疫学講座の
竹田教授は虫垂が免疫グログリンIgAを産生しています。
そして、腸内細菌のバランスが崩れそうになると、
虫垂のリンパ組織はその原因となる細菌を白血球を使って攻撃し、
腸内細菌のバランスを保っているのです。
腸内には免疫細胞が多数存在していますので、
腸内細菌のバランスが保たれれば、免疫機能がアップするのです。
虫垂は、実は重要な役割を果たしていたのですね。
虫垂炎は切らずに治す時代
一昔前は虫垂炎になると、もしくは虫垂炎ではなくても、
虫垂は切除するのが普通でしたが、
今は虫垂は重要な役割があることがわかりましたので、
虫垂炎は切らずに治す時代になっています。
虫垂炎が早期発見でき、炎症が粘膜部に限定されている時は、
抗生物質の投与で完治可能なんです。
「虫垂炎を薬で散らした」という治療法ですね。
「散らした」というと、「ごまかした」ような
あまり良いイメージは持たないかもしれませんが、
抗生物質を使って炎症を鎮めて、完治させることですので、
きちんと確立された治療法ですので安心してください。
ただ、炎症が拡大していて、
腹膜にまで及んでいる場合は、手術が必要にはなります。
腹膜にまで及ぶと、最悪の場合手遅れになりかねませんので、
右下腹部に痛みを感じたら、早めに医療機関を受診して、
早めに治療をするようにしましょう。