乳ガン治療に明るい話題。乳房切除手術後の乳房再建に使用する「人工乳房」に保険適用が初の承認!!
乳房再建には100万円もの費用が
日本では乳ガンは増加傾向にあり、
毎年約6万人が新たに罹患すると言います。
女性にとって、
乳房を切除するその喪失感は耐え難いものです。
乳ガンの全摘出手術には、
乳房再建という道も残されてはいますが、
保険が適用されないので自費治療となり、
100万円もの費用を必要としていました。
しかし、2013年6月12日に国内で初めて、
人工乳房の保険適用が厚生労働省で承認されたという
朗報が舞い込んできたのです。
乳房の全摘出を選択する患者が増えている
乳ガンの治療法は、ガンの大きさ、タイプ、患者の年齢
などによって選択肢が広く存在します。
ホルモン剤・抗がん剤を使用する薬物療法、放射線療法、
ガンの周囲だけを切除する「乳房温存術」、
そして乳房の全摘術などです。
近年は、全摘術を希望する患者が増えているといいます。
薬物療法や放射線療法が長期にわたることや、
ガンのタイプによってはあまり効果的でない場合があるためです。
温存術も、術後に放射線療法で通院しなければなりません。
そして何より全摘術増加の背景には、
乳房再建手術の技術的な進歩があることは間違いありません。
乳房再建手術とは
乳房再建手術では、乳ガンの切除手術と同時に、
拡張器(エキスパンダー)を皮膚の下に入れます。
手術後、約半年かけて拡張器の中に生理食塩水を足して、
人工乳房を埋め込むために皮膚や組織を伸ばします。
この間も生活には全く支障はなく、
旅行でもスポーツでも可能です。
そして、皮膚などが充分に伸びたら、
中身を人工乳房と入れ替えるのです。
(この数ヵ月後に、乳輪と乳頭も再建するのが一般的です。)
人工乳房ではなく自分の腹部や背中の組織を使う方法もあり、
これは保険適用の対象にもなっていますが、
健康な部分にメスを入れねばならず、
大きな傷が残り身体的な負担も小さくありません。
そのため患者の多くは、高額の費用を要する
シリコーン製の人工乳房を選択してきました。
今後も承認が広がることを期待
今回、保険適用の対象となるのは、
アラガン・ジャパン社の人工乳房(69,400円)と
エキスパンダー(32,100円)で、
7月から対応が始まります。
保険適用となれば、
高額療養費制度も利用することが可能となり、
患者負担分の費用は、これまでより大幅に軽減される
ことになります。
尚、乳ガンの治療により乳房の全摘出を行った場合の
再建手術にのみ保険が適用されます。
先ごろアンジェリーナ・ジョリーが公表して
大ニュースになった、乳ガンリスク軽減のための、
予防的治療の場合は対象となりません。
現在アラガン社は、今回承認された製品より
更に自然に近い形状や材質の人工乳房を承認申請中とのことで
より患者の気持ちに沿った治療が期待されます。