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ボツリヌス菌がワキ汗を防ぐ!!わきの下の多汗症に有効なボトックス治療とは?




汗っかきとは異なる多汗症

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汗には色々な種類があります。

まず、人間のかく汗のほとんどは、
全身の広範囲に分布する「エクリン腺」という汗腺から
分泌されます。

主に体温を調整する役割を果たしますが、
緊張したり気持ちが高ぶったりした時に、手のひらや
足の裏などに急激に汗をかく精神性発汗もあります。

もう一種類の汗腺「アポクリン腺」は、
わきの下や陰部など特定の部位に分布していて、
分泌される汗は、ワキガなどニオイの原因となるものです。

多汗症とは、読んで字のごとく汗を多量にかく症状ですが、
多くのケースは強いニオイを伴わない
エクリン腺からの発汗です。

精神性発汗と同様の、手のひら、わきの下、足の裏などが
発汗の多い部位です。

特に手のひらの多汗症(手掌多汗症)は、
ゲーム機や携帯電話を故障させてしまったり、
コンセントで感電することもあるほど深刻で、
手を洗った直後のようにびっしょりと汗で濡れてしまいます。

「緊張して手汗かいた~!!」というレベルではないので、
多少汗っかきなくらいなら心配する必要はありません。

手術後、別の場所から汗が噴き出してくることも

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多汗症の治療としては、カウンセリングや
自律訓練を行う心身療法や、薬物療法があります。

しかし、一時的に改善してもぶり返してしまうことも多く
根治を目指すならば、手掌多汗症の場合は
ETSという手術が行われます。

正式名称を腔鏡下胸部交感神経遮断術といい、
手のひらの発汗に関わる交感神経を切断する手術です。

内視鏡手術なので、わきの下に3、4ミリの
目立たない傷を作るだけで済み、
施術時間も左右合わせて10分程度と非常に短時間です。

効果は確実とされますが、
発汗によって体温を下げる機能が失われ、
顔が熱くなるような副作用が生じることがあります。

また「代償性発汗」といい、わきの下以外の様々な部位、
多くは胸や太ももなどからの発汗が増えることがあります。

このような副作用は、
手術前に予想することができず、ごく稀ではありますが、
日常生活に支障をきたすレベルの発汗が太ももなどに起こり
裁判沙汰になったケースもあります。

保険適用された「ボトックス療法」

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2012年11月から、わきの下の多汗症に対しボトックス
(ボツリヌス菌の製品名)を注射する治療法が
健康保険の適用対象となりました。

ボトックスは、まぶたや手足のけいれん治療に
使用されているもので、多汗症については、
わきの10数ヶ所に注射して発汗を促す神経物質が
生成されるのを抑制します。

効果が現れるのに1ヶ月前後かかりますが、
一度の治療で4~9ヶ月間は効果の持続が見込まれます。

多汗症は、放っておいて自然に治ることの少ない症状ですが
治療による効果は認められています。

まず外用薬治療を行って様子を見るなど、
過剰な治療を行ってしまわないよう、
医師と相談しながら段階を踏んだ治療を進めることが望まれます。





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2013年7月2日 | カテゴリー:皮膚の病気

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