『インコ風味のアイス』ってどういうこと!?五感のうちでも特殊な「嗅覚」の不思議
インコを食べたことはありませんが・・・
今、インコが「キテる」のだそうで、
テレビ番組で特集を組まれたり、
雑貨屋さんにインココーナーができたりと、
ブームの一歩手前まで人気上昇中です。
インコ飼育の経験者は一様に
「あのニオイがたまらない」と言い、それを反映してか、
なんとインコ臭の香水なる超マニアックな商品も
販売されているとか。
そんな愛好家の中で今話題を呼んでいるのが
『インコ風味のアイス』です。
インコの、風味・・・?
“風味”という言葉を辞書でひいてみると
「口に含んだときに感じられる、その物に独特のよい味」
とあります。
このアイスは一体、
何をもってインコの味を表現しているのでしょうか?
ニオイが味を呼び起こす?
この『インコ風味アイス』を食した人の感想を
ネット上から拾ってみると、
穀物の香りが鼻をくすぐる香ばしい匂い、
インコの首筋に鼻をうずめている時のような匂いなど、
ニオイにまつわる語句が多く並んでいました。
中には「セキセイインコを握りしめて
匂いを嗅ぎながらアイスを食べているよう」という
ストレートなものも。
このアイスには、アワやキビなどインコの餌になる穀物が
パフ状で入っているそうです。
そういった原材料のニオイから、
インコの記憶が呼び起こされているのですね。
つまり、インコを飼ったり触れ合ったりした経験がない人は、
このアイスを食べても「インコみたいな味」とは感じません。
これは、スイカの皮に近い部分やキュウリなどを指して
「カブトムシの味がする」と言うのと同じです。
記憶に左右される『嗅覚』
ニオイに名前をつけることは困難だといいます。
それは、過去にどんな状況で経験したかによって、
同じニオイ分子でも人によって異なる知覚をもたらすからです。
○○のようなニオイ、と言っても、
それは個人の感覚に大きく依存するということになります。
例えば“雨の匂い”は、多くの人が恐らく
同じニオイを指してそう呼んでいると思われますが、
それは雨の降り始めや雨上がりという共通の経験が
存在するためです。
そのニオイは、実際には雨の匂いなどではなく、
正体はペトリコールやジオスミンという化学物質なのです。
時々、何かに似たニオイや以前に別のシチュエーションで
嗅いだことがあるニオイに出逢うことがありますが、
もしかすると、同じ化学物質が発しているのかもしれませんね。
遺伝子レベルで好き嫌いが分かれるニオイも
嗅覚は、五感の中でも好き嫌いが最も顕著と言われますが、
それは、ニオイが大脳辺縁系に直接届き、
本能や感情とダイレクトに結びつくためです。
経験に左右されるニオイとは別に、遺伝子に組み込まれ、
経験によって知覚の変化しないニオイ分子も存在し、
それは生存や繁殖に関わり、
性的な高まりをもたらしたり危険を察知させたりします。
年頃の女の子が「お父さん、クサイ!」と言い出すのも、
遺伝子的に近しいオスを遠ざけるような
本能のなせる業なので、
お父さんはさほどショックを受ける必要はなさそうですよ。