発作が重大事故を招くこともある「てんかん」。「てんかん」とはどんな病気か知っていますか?
てんかんと運転免許問題
2011年には栃木県で、2012年には京都府で、
それぞれ運転中の車が暴走し、複数人の死傷者が出る
という痛ましい自動車事故が起きました。
この2つの自動車事故の共通点は、
運転手がてんかん患者であり、
事故原因がてんかんの発作と断定されたこと、
さらに運転手が薬を服用しておらず、
医師や家族から運転を控える忠告を受けていたにもかかわらず
車の運転を続けていたということがあります。
この事故を受けて、運転免許の不正取得や
交通事故を起こした場合の厳罰化への機運が高まったため、
国会で免許の不正取得を防ぐ
改正道路交通法が6月に可決・成立し、
悪質運転事故の厳罰化を盛り込んだ新法案も
この秋に可決する見通しとなっています。
現在、日本ではてんかん患者は、
2年間以上発作を起こしていないこと等の条件付で、
運転免許取得が可能となっています。
てんかんとはどんな病気?
では、運転中に発作を起こすと重大事故につながってしまう
「てんかん」とは、どんな病気なのでしょう?
てんかんは、大脳のニューロンが過剰に興奮したことで起こる
慢性の脳疾患です。
通常、脳の神経細胞は弱い電気信号で
情報の受け渡しをしていますが、てんかん患者の場合は、
突然脳細胞が興奮し、強い電流が流れてしまうことで、
発作が起こります。
発作の症状は、人それぞれですが、
意識消失や全身性の痙攣、部分的な痙攣などがあります。
てんかんは、
人口の0.5~1%(1000人に5~10人)の割合で見られるため、
決して珍しい病気ではありません。
また、医療の発達により、適切な治療を受けることで、
てんかん発作のない生活を送ることも可能なんです。
てんかんの治療法
てんかん治療は、主に薬物療法です。
抗てんかん薬には、様々種類があり、
てんかんの種類やその症状に合った薬剤を
選択しなくてはいけないため、
詳細な検査と正確な診断が必要となります。
適切な治療を受け、
自分に合った薬剤をきちんと服用し続ければ、
現在は70%以上のてんかん患者が、
てんかん発作を起こすことなく生活できている
というデータがあります。
抗てんかん薬を服用し、3年以上発作が起きない場合は、
抗てんかん薬の中止が検討されますが、
この時に重要なことは、自己判断で服薬を中止したり、
服薬量を調整しないようにすることです。
抗てんかん薬の服用中止後の再発率は、
小児で11~36%、成人で21~66%とのデータもあり、
医師の指示に基づいて治療をしないと、
再発しやすくなりますし、
逆に症状を悪化させる原因になります。
医師の指示通りに服薬していない通院患者は、
約42%もいるとの報告もありますが、てんかんの治療は、
服薬をきちんと行うことが最も重要ですので、
患者本人だけでなく、
家族も協力しながらしっかり治療を行っていきましょう。