血圧の下げすぎは危険!収縮期血圧と拡張期血圧について知りましょう。
収縮期血圧と拡張期血圧
高血圧は、日本人の国民病とも言える生活習慣病です。
健康診断の度に、血圧の値が気になってしまうという人も
多いのではないでしょうか?
血圧の値は、120/80のように2つの数字がありますよね。
この2つの数字の意味をご存知ですか?
高いほうの値を「収縮期血圧(最高血圧)」、
低いほうの値を「拡張期血圧(最低血圧)」と言います。
そもそも、血圧とは血液が流れることで血管壁にかかる
圧力のことを指しています。
血液量が増えれば、
それだけ血管壁への圧力が高くなって血圧が上がります。
また、血管壁に弾力性があれば、
血流による圧力を分散させられますので、血圧は低くなります。
では、収縮期血圧と拡張期血圧についてご説明します。
心臓は、収縮と拡張を繰り返すポンプ作用で、
全身に血液を送り出しています。
心臓がギュッと収縮すれば、血液は心臓から勢いよく流れ出し、
拡張した時には心臓内に血液が溜まり、
また収縮することで溜まった血液を全身に送り出すのです。
この心臓が収縮した時の血圧が収縮期血圧(最高血圧)で
拡張した時の血圧が拡張期血圧(最低血圧)と言います。
収縮期血圧は、血液が最も勢いよく流れている時なので、
血管壁への圧力が高くなり、
拡張期血圧は血液の流れが最も緩やかなので、
血管壁への圧力は低くなります。
血圧は一定の値ではなく、
収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)を
行ったり来たりしているというわけです。
高血圧の高齢者は怪我しやすい?
一般的に高血圧になると、
収縮期血圧も拡張期血圧も上がります。
でも、高齢者の高血圧は、
収縮期血圧は高いものの拡張期血圧はそれほど高くない、
むしろ低めになる傾向にあります。
この原因は動脈硬化です。
動脈硬化は生活習慣病であり、
一般的に加齢と共に進行します。
動脈硬化になると、血管壁の弾力性がなくなりますので、
血液が多く流れた時、
血管壁にかかる圧力は高くなりますので、
血圧は高くなります。
つまり、収縮期血圧が高くなるんです。
血液が多く流れれば、血管は膨らんで広がります。
でも、血管に弾力性がなければ、
血液の流れが緩慢になった後でも
血管は元に戻りにくくなり広がったままなので、
血管壁にかかる圧力は低くなり、
拡張期血圧は低くなるんです。
収縮期血圧と拡張期血圧の差が大きいと、
それだけ血圧の上昇・低下の割合が
大きくなることになります。
そのため、収縮期血圧だけを見て降圧剤を飲んでしまうと、
拡張期血圧が下がりすぎて、起立性低血圧を起こし、
ふらつきやめまいによる転倒事故を起こしやすくなります。
アメリカの研究では、降圧剤を服用している高齢者は
服用していない高齢者に比べて、
30~40%も転倒後の怪我のリスクが大きい
という結果も出ています。
血圧の下げすぎは危険!
また、血圧の下げすぎは、
起立性低血圧を起こすだけではありません。
命にかかわる重大な病気を引き起こす危険もあるんです。
その病気とは、心筋梗塞や脳梗塞です。
血圧を下げすぎると、冠動脈に十分な血液が流れず、
狭心症や心筋梗塞の原因になりますし、
低血圧で血流が悪くなれば、脳に血栓が詰まりやすくなって、
脳梗塞のリスクが高まります。
また、腎臓への血流量が減れば、
腎機能の低下を起こしますので、元々腎機能が悪い人は、
腎不全に陥りやすくなるのです。
至適血圧は120/80未満、
正常血圧は130/85未満となっていますが、
その人の既往歴や基礎疾患などによって、
適正な血圧は異なってきますので、
主治医の指示に従うようにしましょう。
また、適正な血圧を保つためにも、
高血圧を指摘されている人は、
朝晩2回血圧を測る習慣をつけると良いでしょう。