健康な人の10倍の速度で老化が進む?早老症について知りましょう!
早く老けてしまう病気があります
いつも実際の年齢より
上に見られてしまうという人っていますよね。
いわゆる「老け顔」と呼ばれるものです。
本人にとってみると、実年齢より上に見られること
は大きな悩みの種になりますが、
健康上は何の問題もありませんよね。
見た目がちょっと老けているだけで、
血管や内臓まで実年齢よりも
老化が進んでしまうということはありません。
でも、単なる「老け顔」ではなく
見た目も体の内部も普通より
早く老化が進んでしまう病気があるんです。
その病気は、早老症です。
早老症は、その名のとおり老化が早く進んでしまう
「加齢促進状態」のことで、遺伝子病のひとつです。
早老症は、まだ研究段階ですが、
遺伝子がDNA、RNA代謝に関連した酵素がもたらす
染色体異常を呈することはわかっています。
早老症の患者さんの1年は、
健康な人の10年以上に相当すると言われていますので、
健康な人の10倍以上の速度で
老化が進んでいくことになります。
乳幼児期に発症するプロジェリア症候群
早老症にはいくつか種類がありますが、
代表的なものに乳幼児期に発症する
プロジェリア症候群があります。
プロジェリア症候群は
生後6ヶ月から2歳までに発症することが多く、
乳児期には400万人に1人、
幼児期は900万人に1人が発症すると言われていて、
プロジェリア症候群の平均寿命は約13年です。
プロジェリア症候群の特徴として、
身長と体重の発育が乏しく、
骨格や歯の形成不良が見られますが、
神経や脳機能は正常に発育しますので、
体の発育と精神的な発育に大きな差が見られます。
症状が進行すると、皮膚の老化や白髪、
脱毛などの外見的な老化のほかに、
高コレステロール血症、糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症、
白内障などが現れます。
特に、動脈硬化の進行は著しく、
心疾患や脳血管障害などを発症しやすくなります。
思春期以降に発症するウェルナー症候群
プロジェリア症候群は幼児期までに発症する早老症ですが、
思春期以降、特に成人してから多く発症する早老症もあります。
それがウェルナー症候群です。
ウェルナー症候群は、発症すると皮膚の硬化や萎縮、
白髪、脱毛のほかに、糖や脂質の代謝異常、骨粗鬆症、
動脈硬化、悪性腫瘍などを引き起こし、
40~50歳で死に至ります。
このウェルナー症候群は、
千葉大学医学部大学院の研究によると、
日本人に多いことがわかっています。
世界的にみても患者の8割が日本人で、
ウェルナー症候群の原因遺伝子が
日本人の祖先に多かったためと考えられています。
これらの早老症はまだまだ原因究明の段階ですので、
治療法などはありませんが、
今後の研究が進んでいくことが期待されています。