4ミリの恐怖!!マダニが致死率の高いウイルス性感染症を媒介するおそれ。
皮膚に噛み付いて寄生しながら血を吸うマダニ
マダニとは、人間や動物の皮膚に噛み付いて吸血する
小さな生き物です。
昆虫ではなく、節足動物に分類される
クモなどの仲間です。
体長は3~4ミリ程度ですが、
血を吸うと倍ほどの体長になり丸く膨れます。
血を吸われるだけならいいのですが(よくはありませんが)
マダニは鋏のような形状のギザギザの歯を持ち、
人間や動物の皮膚にその歯を刺した状態で、
数日間吸血を続けながら寄生します。
その際、様々な病原体を感染させる媒体となるのです。
人獣共通感染症である「ライム病」、
高熱を発し治療が遅れると重症化する
「日本紅斑熱」や「Q熱」などが知られていました。
そして近年、マダニが媒介すると考えられる、
致死率の高いウイルスが発見され、
日本でも感染が確認されています。
日本国内でも続く「SFTS」による死亡例
2009年に中国で発生した原因不明の感染症は、
その後、重症熱性血小板症候群(SFTS)と名づけられ、
マダニが宿主となっていることが判明しました。
日本においては、2013年1月に山口県で
初めて患者が確認され、これまでに16人が感染、
うち8人が亡くなっています(2013年5月25日現在)。
患者の中に海外渡航歴のある人はほとんどいなく、
国内で感染したと思われます。
4月に山口県で発症した60代女性の腕に
噛み付いていたマダニからは、
SFTSの原因ウイルスが検出されました。
現時点では、感染者は関東以西に集中していますが、
同種のマダニは日本全国に分布するため、
どこででも感染し得ると考えられます。
春先から秋までは活発に活動するので、
今後しばらくは予断の許されない時期が続きます。
有効な治療法はまだ見つかっていない
SFTSの存在が確認されてから、
まだ数年しか経過しておらず、
抗ウイルス薬などは開発されていないため、
治療としては対症療法で乗り切らざるを得ません。
潜伏期間はマダニに噛まれてから6日~2週間程度で、
主に吐き気や嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状や
発熱などが見られます。
国内で亡くなった患者の例では、白血球と血小板が激減し
血尿、蛋白尿、リンパ節の腫れなど多くの所見が認められ、
その後、全身状態が不良となり死亡に至りました。
肺炎を併発して呼吸状態が悪化、
血管内凝固症候群を併発し、
肝腎機能障害を起こして死亡した例もあり、
症状は多岐にわたり重症化が顕著です。
屋外での活動は肌の露出を控えて
マダニ類は、市街地でも生息が認められますが、
主に山野に広く生息します。
草むらや藪などに入る場合には、
できるだけ長袖・長ズボンを着用し、
マダニに噛まれないようにするしか予防の方法はありません。
マダニに噛まれても、痛くもかゆくもなく気付きにくいので
帰宅してから噛まれていないかを意識的にチェックしましょう。
万が一、皮膚にマダニが付いていた場合は、
慎重に除去しなければなりません。
つまんで取ろうとすると歯の部分がちぎれて
体内に残ってしまいますし、
病原菌を持っていることを考えると、
潰すのも好ましくありません。
気がついたら、
すぐに病院で処置をしてもらう必要があります。