帯状疱疹は水ぼうそうと同じウイルスで起きる、別名「大人の水ぼうそう」。痛みは激しく慢性化することも。
体内に潜伏したウイルスが免疫力低下で復活
水ぼうそうは、医学的には「水痘」と呼ばれ、
この病気を引き起こすウイルスは
「水痘・帯状疱疹ウイルス」といいます。
子供がかかる水ぼうそうは、全身にできる虫さされのような
水疱が特徴で、かゆみを伴い、通常は数日で治まります。
しかし、水ぼうそうが治った後も、
このウイルスは身体の神経節という部分に、
何年も、長ければ何十年も潜伏しているのです。
加齢や過労、他の病気の罹患や治療、
投薬などで免疫力が落ちた時、
ウイルスは水ぼうそうとは別の形で活動を再開させます。
それが帯状疱疹なのです。
ウイルスが潜んでいた神経に沿って発症する
帯状疱疹という病名は、皮膚が帯状に赤く腫れ、
強い痛みを伴う水疱ができることに由来しています。
症状が現れやすいのは、腹部や背中、手足などですが、
全身のどこにでも発症する可能性があります。
初めは目視できる異常がなく、「前駆痛」と呼ばれる
チリチリ・ピリピリとした皮膚の痛みが現れます。
数日後、水疱ができ始めると痛みが強くなり、
更に10日後ごろに痛みのピークを迎えます。
衣服と触れても痛み、睡眠の妨げになることもしばしばです。
この痛みは、水疱がかさぶたになるまで続き、
治まるまでには痛み始めてから1ヶ月程度を要します。
更に、皮膚症状がなくなっても痛みだけが残って
慢性化する場合があり、これが非常に厄介です。
回復後も慢性化する痛み症状
帯状疱疹は、目に見える症状が消えた後も痛みだけを残し、
慢性化することがあります。
高齢の人ほど陥りやすい「帯状疱疹後神経痛」は、
ウイルスが潜んでいた神経節から活動を再開させ、
破壊した神経細胞が回復せずに痛みが定着するものです。
もはやウイルスとは無関係の、神経に起きている障害で、
治ったと思っても天候や寒暖差などでぶり返し、
長期間にわたって痛みに悩まされます。
徐々に治まって行かない場合は、
神経ブロック注射などの治療が必要となります。
早期治療が長引かせない決め手
皮膚のピリピリするような痛みの段階で、
帯状疱疹を疑って受診することは難しいかもしれませんが
痛みを伴う発疹がみられたら、
なるべく早く皮膚科などを受診するようにしましょう。
帯状疱疹は、発疹後3日以内に抗ウイルス薬を投与し
治療を開始すれば、重症化が避けられるとされています。
帯状疱疹後神経痛に移行する可能性も低くなりますので、
早めの受診が大切です。
また、免疫力の落ちてくる年齢になったら、
水ぼうそうワクチンの接種を受けるのも一考です。
但し、水ぼうそうワクチンを
帯状疱疹の予防として接種することは、
日本では保険適用の対象となっていませんので、
1万円前後の費用がかかります。