美白化粧品により肌がまだらに白くなるトラブル。一刻も早い原因究明が待たれます
被害者は1万人超
カネボウの美白化粧品による皮膚トラブルの被害問題は、
回収費用だけで60億円、2013年8月上旬の時点で
被害を訴えた消費者は1万人を超え、
そのうち重症者が2500人にものぼるという、
大事件へと発展しました。
医薬部外品の有効成分ロドデノールを含む
美白化粧品を使用した人に、
肌がまだらに白くなる「白斑」の健康被害が現れたことが
明るみに出て、自主回収騒ぎとなったこの問題、
原因究明を急いでいますが、
治療法もいまだ不明という状態が続いています。
メラニン生成に関わる酵素を抑制する成分
ロドデノールとは、
カネボウ化粧品が独自に開発した美白有効成分で、
シラカバやメグスリノキといった植物に含まれる
「4HPB]から作られています。
シミの原因色素であるメラニンは、
チロシナーゼという酵素の働きにより生成されます。
このチロシナーゼを抑制し、分解する効果がある
成分ロドデノールの含まれる美白化粧品は、
人気商品でした。
チロシナーゼと呼ばれる酵素は数種類あり、
その中の「モノフェノールモノオキシゲナーゼ」という
長い名前の酵素がメラニンの生成に深く関わっています。
チロシナーゼが生成・活性化されない疾患がある
ところで、「アルビノ」と呼ばれる
遺伝子疾患をご存知でしょうか。
先天的にメラニンが欠乏し、
皮膚や髪、目(虹彩)などの色が抜けたようになる疾患で
白子症などの名前で知られています。
遺伝子的にチロシナーゼを生成できない、
あるいはチロシナーゼが働かないために、
メラニンの生成ができないのです。
カネボウの美白化粧品問題は、
原因がはっきりと解明されるのに
まだまだ時間がかかるようですが、
この美白有効成分ロドデノールが
チロシナーゼを抑制するメカニズムに鍵があるのは
間違いなさそうです。
消費者も自己防衛が必要
今後もこのような健康被害が起きる可能性は
あるのでしょうか。
医薬部外品による健康被害といえば、
茶のしずく石鹸によるアレルギー被害が
記憶に新しいところです。
厚生労働省の承認を受け、
発売後の追跡調査をクリアしていながらも、
問題は起きてしまいました。
医薬部外品の安全基準について、
見直しが必要な時期なのかもしれません。
カネボウでは、
この件で最初に消費者から問い合わせがあった後、
すぐに専門部署での検証を行わず、
対応が不適切であったために、
被害を拡大させてしまいました。
医薬部外品での健康被害には、
公的な救済制度が一切存在しないという問題点もあります。
消費者側でも、少しでもおかしいと思ったら、
絶対に使い続けないようにするなど、
自己防衛の意識を持たねばなりません。