食事の後に血圧が低下?高齢者は特に食後低血圧に注意しましょう。
高齢者に多い食後低血圧
「血圧に注意!」というと、
高血圧を思い浮かべると思います。
確かに、高血圧は生活習慣病の代表格ですし、
高血圧が脳卒中など
死に至る病気の引き金になることもあります。
でも、注意すべきなのは高血圧だけではありません。
低血圧にも注意が必要なのです。
低血圧は若い女性に多いのですが、
食後低血圧は高齢者に多いという特徴があります。
食後低血圧とは、食後に急激に血圧が下がる症状のことで
食後に立ち上がるとめまいやふらつき、
立ちくらみが起こります。
ひどい時には、意識消失を起こして、
転倒することもあります。
高齢者の場合、転倒すると骨折しやすいですよね。
高齢者の骨折は、寝たきりの引き金になり、
QOLが著しく低下する原因になりますので、注意が必要です。
食後低血圧のメカニズム
なぜ、食後に血圧が下がってしまうのでしょう?
そのメカニズムをご説明します。
食後は食べたものを消化・吸収するために、
胃腸の周囲に血液を集中させて、
胃腸の働きを活性化させます。
胃腸に血液が集中すると、
心臓から送り出される血液量は少なくなり、
血圧が下がる危険があります。
しかし、健康な人の場合、
心拍数を上げたり、血管を収縮させるなど
血圧を一定に保つ機能が働きますので、
食後でも急激な血圧低下はありません。
この血圧を一定に保つ機能は、
自律神経のバランスが関係していますが、
加齢や病気が原因で自律神経がうまく働かなくなると、
血圧が一定に保たれなくなり、
食後に急激な血圧低下が起こるのです。
そのため、高齢者は食後低血圧になりやすいんですね。
65歳以上の高齢者の3人に1人は、
食後低血圧と言われていますので、
高齢になれば誰にでも起こりうる症状です。
また、高血圧の持病がある人は、
「低血圧は関係ない」と思われるかもしれませんが、
降圧剤を飲んでいる人は、
食後低血圧が起こりやすいですので、注意が必要です。
食後低血圧の予防法
では、食後低血圧を予防するにはどうしたら良いのでしょう?
まず、食事量は食べ過ぎず、腹八分目にしておきましょう。
また、急がずゆっくり食べることも重要です。
食べ過ぎや早食いは、
一度にたくさんの食物が胃腸に溜まってしまい、
それを消化するために、
胃腸により多くの血液が集まりますので、
食後低血圧になりやすいのです。
また、食後はすぐに動かず、休息を取りましょう。
胃腸に血液が集中するのは食後30分から1時間ですので、
食後1時間は急激な動作は避けると良いでしょう。
休息中にお茶やコーヒーなど
カフェインが入った飲み物を飲むと
カフェインの効果で血圧が上昇しやすくなりますので、
食後低血圧を予防することができます。
食後低血圧で転倒、骨折しないよう、
普段から予防対策をしておきましょう。
また、このような予防を行っても、
食後低血圧が起こる場合は、
早めに医療機関を受診してください。