妊娠中の「やってはいけないこと」とその影響について知りましょう。
喫煙の影響
妊娠中は、お母さんの生活習慣が直接胎児に影響を及ぼすため、
「やってはいけないこと」がたくさんあります。
今までの生活習慣を改善せざるを得ないことも多々あって、
戸惑うことも多いと思いますが、「なぜやってはいけないのか」
「その行動が胎児にどのような影響を及ぼすのか」を知ると、
生活習慣を改めるきっかけになると思います。
まずは、妊娠中の喫煙についてです。
タバコの煙にはニコチンや一酸化炭素、
鉛、シアン化合物などが含まれていて、
胎児の発育や機能に悪影響を与える
「胎児毒性」があります。
そのため、妊娠中の喫煙は胎児の発育遅延や流産、
早産を起こしやすくなります。
また、タバコの有害物質は血管収縮作用があるため、
早期胎盤剥離や前置胎盤などのリスクを高めます。
喫煙と早産の関係
母親が喫煙していると、出生時の体重は約200g軽くなり
ヘビースモーカーだと約450g軽くなる
というデータがあります。
また、喫煙本数と早産率は比例していて、
喫煙していない母親の早産率は6%なのに対し、
1日の喫煙本数が5本以上で7%、6~10本で11%、
11~20本で13%、21~30本で25%、
31本以上で33%となっています。、
「早産になる」、
「赤ちゃんの出生体重が軽い」ということは、
それだけ未熟な状態で生まれてくるということですので、
赤ちゃんに何らかの障害が残ったり、
出生後NICUでの集中治療が必要になる可能性があります。
環境省の調査によると、
妊娠判明時に喫煙していた妊婦は18%、
その後も喫煙を継続した人は5%にも上ります。
また、夫が妊娠判明時に喫煙していた割合は49%、
その後も喫煙を継続していた人は46%でした。
妊婦が禁煙しなければいけないのはもちろんですが、
副流煙の影響がありますので、
夫や家族も禁煙しなければいけません。
できれば、「妊娠しよう」と思った段階で、
禁煙したいですね。
アルコールの影響
また、妊娠中はアルコールも控えなければいけません。
飲酒が好きなお母さんにとっては、
禁酒は辛いかもしれませんね。
でも、妊娠中のアルコール摂取は、
流産や死産、胎児の先天異常につながります。
アルコールが胎児の催奇形性に関係しているのは
明らかになっていて、妊娠初期の飲酒は特異顔貌や奇形、
妊娠中期後期では胎児の発育遅延や
中枢神経障害が起こります。
1日のアルコール摂取量が15ml以下
(ワイン1杯、ビール350ml程度)であれば、
胎児への影響は少ないとされていますが、
アルコールの安全量は確立されていませんし、
少ない量でも胎児への影響が出る可能性がありますので、
妊娠中はきっちり禁酒したほうが良いでしょう。
ビタミンAの影響
妊娠すると、
ビタミンやミネラルをいつも以上に摂らないと!
と思っている人は多いのではないでしょうか?
葉酸やカルシウム、
鉄分などは豊富に取る必要がありますが、
気をつけなければいけないのはビタミンAです。
妊娠初期にビタミンAを取りすぎると、
胎児に奇形を生じる可能性があるため、
厚生労働省では妊娠中のビタミンAの摂取量の上限を
5000IUとしています。
ビタミンAには、
動物性由来のレチノールと
植物性由来のβカロテンがありますが、
奇形の原因になるのはレチノールと言われています。
レチノールを多く含む食品には、
鶏レバー(100g中47000IU)、
豚レバー(100g中43000IU)、
うなぎの蒲焼(100g中5000IU)などがあります。
レバー類は、鉄分補給のために
たくさん食べようとする人もいますので、
特に気をつけたいですね。
妊娠中は様々な制限がありますが、
生まれてくる赤ちゃんの健康のためにも、
今までの生活習慣を一度見直してみましょう。