汗をかくことができず、熱中症になりやすい無汗症について知りましょう。
汗の仕組と働きは?
汗をかくとベトベトするし、嫌な臭いは出るし、
女性は化粧が崩れたりしますので、
あまり汗をかきたくないという人も多いと思います。
でも、汗は健康のために
とても大切な働きをしているんです。
はじめに汗が出る仕組をご紹介します。
汗は汗腺から分泌されますが、
汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の 2 種類があります。
エクリン腺は全身に分布していて、皮膚の表面から汗を出し、
活性時期はほぼ一生続くのに対し、
アポクリン腺はワキや外陰部などに分布していて、
毛穴から汗を出します。
また、活性時期は思春期から壮年期までと限定しているのも
アポクリン腺の特徴です。
一般的に「汗をかく」という場合は、
エクリン腺からの汗となります。
エクリン腺からの汗は、皮膚の乾燥を防いだり、
腎臓の働きを補助する働きもありますが、
最も大切な働きは、体温を調節することです。
私たちは汗をかくことで、身体の熱を外に逃がしています。
運動をしたり、気温の高い時期に汗をたくさんかくのは、
身体の熱を逃がして、体温を下げるためなんですね。
汗をかかない病気=無汗症
汗は体温を下げる働きがありますので、
もし汗をかかなければ、体温は下がりにくくなり、
高体温が続いてしまうことになりますよね。
それだけ、汗は大切な働きをしている
ということになります。
体温が上がった状態が続けば、
熱中症などになりやすくなります。
熱中症になると、気分不快や頭痛などの症状が出ますが、
重症化すれば意識障害や全身痙攣が起こり、
脳に深刻なダメージが残ったり死に至ります。
汗をかくことは健康を維持する上でとても大切ですが、
汗をかくことができない病気があるんです。
その病気は、無汗症です。
無汗症には先天性無汗症と後天性無汗症があり、
身体のある一部だけ汗をかかないタイプと
全身から汗が出ないタイプに分けられます。
汗は交感神経が刺激されると分泌されますので、
後天性無汗症は中枢神経、脊髄神経、末梢神経、
エクリン汗腺のどこかに異常があることで起こりますが、
先天性無汗症の原因は明らかになっておらず、
治療法も確立されていません。
無汗症治療に光が
原因もはっきりせず、
治療法も確立されていない先天性無汗症ですが、
理化学研究所とスウェーデンウプサラ大学の共同研究で、
汗の分泌に重要な遺伝子が発見されたことで、
今後新たな治療法が確立されるかもしれません。
今回の研究では、パキスタンで
原因不明の先天性無汗症の家系の遺伝子を調べたところ、
細胞内にある小胞体に蓄えられたカルシウムを放出し、
カルシウム濃度を調節する遺伝子に
変異があったことを突き止めました。
今回の研究結果を受けて、
研究者は「塗り薬などで皮膚細胞のカルシウム濃度を
調節できれば、無汗症などの治療に役立つかもしれない」
と話しています。
今後、先天性無汗症の治療法が確立され、
無汗症の患者さんが熱中症になるリスクが
下がるかもしれませんね。