うつ病が客観的な検査で診断可能に?うつ病の最新検査方法について知りましょう。
うつ病はどうやって診断されるのか?
現代のストレス社会の中で、
うつ病を患う人が急速に増加しています。
厚生労働所の調査によると、
医療機関で治療を受けているうつ病(躁うつ病も含む)患者の数は、
1966年には約43万人でしたが、
2008年には104万人以上にまで増えているんです。
この数値は医療機関で治療を受けている人ですので、
治療を受けていない人を含めると、
実際のうつ病患者はもっと多いと推測されています。
うつ病は、どうやって診断されるか知っていますか?
うつ病は、基本的に問診で診断されるんです。
うつ病の診断基準(DSM-IV)は、
①毎日のように、ほとんど1日中ずっと気分が沈んでいる。
②毎日のように、ほとんど1日中何に対しても興味が湧かず楽しめない。
③毎日のように、食欲が低下、または体重の増減が激しい。
などのような9項目の症状からできていて、
一定以上症状が当てはまるかどうかで診断されます。
つまり、うつ病は患者さんの主観的な症状と
精神科医の経験や判断によって診断されることになるんですね。
客観的な数値や視覚的な画像によって診断されるわけではないため、
「うつ病なんて怠けているだけ」という誤解を受けやすいんです。
客観的なうつ病の診断法
主観的な部分が大きく、客観的なデータがないうつ病ですが、
2014年の4月から光トポグラフィー検査という
うつ病を診断する検査が保険適用になっています。
この光トポグラフィー検査は、
近赤外線を用いて脳の前頭葉の血流状態を波形として表すものです。
健康な人、うつ病の人、躁うつ病の人、統合失調症の人と
それぞれ波形のパターンがありますので、
視覚的にうつ病を診断することができるんです。
ただ、この検査の鑑別精度は、うつ病で7~8割、
躁うつ病で8~9割と完璧ではありませんので、
診断を補助するものとして用いられることになります。
でも、客観的な視覚データで、うつ病であることが診断できれば、
「うつ病=怠け者」という誤解を解くきっかけになりますよね。
血液検査でうつ病や統合失調症が検査可能に?
光トポグラフィー検査の鑑別精度は8割前後となっていますので、
検査結果が確実とは言えないというデメリットがあります。
でも近い将来、客観的でしかも鑑別制度が100%という
うつ病の検査方法が確立されるかもしれません。
その検査方法は血液検査です。
血液検査でうつ病を診断するという方法は、
世界各国で研究が進んでいますが、
日本では、BDNF(脳由来神経栄養因子)遺伝子内で生じる
メチル化という現象の違いを比較して、
健康な人、うつ病の人、統合失調症の人を
ほぼ100%の精度で鑑別できるという段階まで来ているんです。
また、アメリカのノースウェスタン大学では、
特定のRNAの血中濃度からうつ病の診断ができる可能性があると
発表がありました。
今後は、血液検査で客観的に
うつ病を診断できるようになるかもしれません。
そうすれば、うつ病に対する誤解もなくなりますよね。