診断がつきにくい「胸郭出口症候群」。腕のだるさや痺れが治らないなら、疑ってみてもいいかもしれません
特に何もしていないのに腕がだるい…
なんとなく腕がだるくて、力が入りにくいような感じがする。
何か重い物を持ったり、腕を使い過ぎたりしなかったか
振り返ってみても、思い当たるふしがない…。
もし、あなたが普段から肩こりに悩まされているようなら、
それは胸郭出口症候群なのかもしれません。
痺れとも痛みともだるさともつかない、
なんとも言いがたい違和感が生じ、気がつくと症状が消えていて
パソコン作業を始めたり長時間座っていたりすると、
またこの違和感が復活しています。
似たような症状の疾患はいくつもあるので、
診断がつきにくく、
長期にわたって不愉快な思いをし続けることも
少なくありません。
胸郭出口症候群の特徴は?
これは、鎖骨下動脈や腕に向かう神経が圧迫されることで
腕に痺れやだるさを生じているのです。
なで肩で首の長い女性がかかりやすいと言われていますが
男性でもかかり得る疾患です。
胸郭出口は、鎖骨と一番上の肋骨の隙間あたりを指し、
指圧をするとツボを刺激したような痛みを感じる場所です。
なで肩の人は、この隙間が狭く、神経が圧迫されやすいので
この症状が多く見られるのです。
また、ガチガチに肩がこっているような時も、
血流が悪くなり、発症を促してしまう場合があります。
痛みを生じることもありますが、
多くは痺れ、だるさ、倦怠感、冷感などを訴えます。
腕に力が入らないような感覚がありますが、
実際に物を持ったりキーボードを打ったり台所仕事をしたりと
手を使う作業は意外にできることが多いようです。
他の疾患の可能性を除外してから検査を
似たような症状の現れる疾患の一つに「頚椎症」があります。
頚椎の自然なカーブが失われる、
いわゆる「ストレートネック」が原因となる神経疾患です。
他にも、頚椎椎間板ヘルニアや、
稀に脊髄腫瘍である場合もあります。
これらの疾患の可能性を除外できれば、
胸郭出口症候群である可能性が高くなりますが、
そこまでたどり着くのに様々な検査を重ね、
時間がかかってしまうことが多いようです。
診断するテストはいくつかあり、
例えば、座った状態で胸を張り両肩を後下方に引くと、
手首の脈が弱まるか触れなくなったり(エデンテスト)、
症状のある腕側に顔を向け、
首を反らせて深呼吸すると手首の脈が弱まるか
触れなくなる(アドソンテスト)といった結果がみられた場合
陽性と診断されます。
自宅で改善が望めます
症状が重い場合は手術が行われることもありますが、
基本的に治療は、
首から肩甲骨にかけて温めて血行を良くする温熱療法や、
体操・ストレッチ・マッサージなど保存療法が中心です。
安静時に、少し肩をすくめたような位置に
腕を置くようにすることで、改善されることも。
首の上に頭が乗っていることと、
鎖骨がV字になっていることを意識した姿勢を保つのが、
症状の改善にも予防にもつながります。