海のレジャーの季節。楽しいダイビングが一転苦い想い出に変わらないように、潜水病には気をつけて
話題の海女さん。繰り返し潜って、身体は大丈夫?
NHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」、大人気ですね。
海へ深く潜ってはウニを取って急浮上を繰り返す
海女さんたちの強靭さには、感嘆を覚えます。
海女さんたちが潜る深さは、漁をするものによって違います。
ドラマ「あまちゃん」の世界ではウニ漁ですので
水深5~7mほど。
アワビ漁などになると10mから
深いところでは30mにも及ぶそうです。
ここでふと疑問に思うのは、このような深さを
生身のまま潜っては浮上するのを繰り返していて、
海女さんたちの身体に悪影響はないのだろうか、
潜水病にはならないのだろうか、ということです。
素潜りなら潜水病の心配はない
潜水病とは、レジャーでのダイビングや海底作業などで、
長時間潜水をした後に起きる障害で、
減圧症とも呼ばれます。
水中は地上より気圧が高いのはご存知ですね。
水深10m毎に1気圧加圧されるといいます。
スキューバダイビングでは、タンクの圧縮空気を吸い、
その空気中の窒素は血液に混じって全身を廻り、
組織に溶け込みます。
ところが水面に浮き上がると、
それまでかかっていた圧力がなくなり、
溶け込んでいた窒素が気泡化して血管や神経を圧迫します。
気泡が脊髄に溜まると、手足が痺れたり、
なんとなく現実感のないような
浮遊した感覚になったりします。
関節に溜まれば関節痛、筋肉ならば筋肉痛というように、
気泡が溜まる場所によって様々な症状が現れるのです。
素潜りならば、潜っている間は空気を吸いませんから、
潜水病の心配はないという訳です。
ダイビング直後の飛行機は絶対にNG
潜水病で受診した患者のうち、
80%以上をレジャーダイバーが占めます。
皮膚のかゆみ・赤みから症状が始まり、
激しい関節痛を起こし手足が痺れてきます。
この程度ならまだよいのですが、
手足が麻痺して思うように動かせなくなったり、
意識障害を起こしたり、気泡が脳へと移動すれば、
血管を詰まらせて脳梗塞を起こす危険もあります。
注意点としては、できるだけ潜水の間隔を長くとることと、
浮上する時はゆっくりと上がること。
浮上は、毎分9m以下が良いとされ、
特に水深5mに差し掛かってからは、
そこまで以上にスピードを落とす必要があります。
それから、特に気をつけて欲しいのは、
ダイビングをしてすぐに飛行機に乗らないことです。
何も問題なく帰途につき、
気圧が低下する飛行機の中で発症する人が
増えているのです。
潜水後12~16時間は
飛行機に搭乗してはいけないとされています。
午前中に潜って午後の飛行機で帰るようなことは、
危険ですので絶対に避けましょう。