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高齢化社会において、誰もが考えなくてはならない問題。終末期医療に何を望むか




「死にたい時に死ねない」終末期医療に一石

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少し前の話になりますが、終末期の高額医療問題に関連し、
麻生太郎副総理が発言を撤回する場面がありました。

「さっさと死ねるように」「チューブの人間」
などといった麻生氏独特の言い回しが
問題視されたものですが、この発言は結果的に、
終末期医療について多くの国民が思いをめぐらす
きっかけになったのではないでしょうか。

麻生氏の言う「死にたい時に死なせてもらえない」
事例は山のように存在するでしょう。

私達は、人生の終焉を迎える時に、
もしかしたら何かを判断したり意思表示したり
できなくなっているかもしれない、ということを、
念頭において生きていかなくてはならないのかも
しれませんね。

自然な形の死を望む人が大多数、しかし…

Elderly woman smiles

高齢化の進むわが国において、
65歳以上の認知症患者は2012年の時点で約462万人、
予備軍も含めるとほぼ倍の人数にのぼることが、
厚生労働省研究班の調査で明らかになりました。

もしも自分が認知症にかかり何もわからなくなってから、
あるいは病気と闘いぬいて衰弱しきってから、
何らかの医療の力を借りなければ生き続けることが
できない身体になったとしたら。

家族に迷惑をかけたくない、たくさんのチューブに
繋がれてまで生きながらえたくない、というのは、
多くの人の望むところなのではないでしょうか。 

先般、厚生労働省が発表した
「終末期医療についての意識調査」の結果によれば、
認知症や末期ガンで衰弱した場合、人工呼吸器や
胃ろうで生かされることを希望しない人が約7割。

認知症の場合は、
点滴すら望まない人が4割もいました。

本人に意識がなく、回復の見込みがないのであれば、
なるべく自然な形で死を迎えたいと考える人の割合が、
5年前の調査と比べて大幅に増える結果となりました。

なかなか実現しない事前の意思表示

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この傾向を裏付けるように、
自分で意思表示できなくなった場合に備え、
希望する治療の方針についてあらかじめ書面にしておく
『事前指示書』を作成することについて、
賛成した人も約7割でした。

しかし、実際にそのような書面を作成しているのは、
わずか3.2%に過ぎず、
理想と現実の乖離が浮き彫りになった形です。

切実でもあり、まだ少々遠い未来の話でもあり、
意識はしているものの行動には移していないのでしょうか。

しかし、なんらかの意思表示がない限り、
一旦開始した治療を打ち切りとするのは
難しい問題となってきます。

日頃から家族での話し合いを

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千葉市で行われた調査では、
自分自身もしくは家族の終末期医療について
「家族とまったく話したことがない」という人が
64%でした。

このようなデリケートな話題は、
日本の社会ではタブー視される向きもあり、
現状さし迫っていなければ、
話題に上げるきっかけも得にくいかもしれません。

しかし、人の気持ちは日々変化するものであって、
たとえ事前指示書を作成したからといって、
その内容が必ずしも最終的な希望であるとは限りません。

なるべく希望に近い形で終わりを迎えるためには、
考え方を理解してくれている家族の協力が不可欠です。

家族が互いに、きっぱりと気持ちを代弁できるよう、
日頃から話し合っておけるといいですね。





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2013年8月2日 | カテゴリー:医療

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