サウジ等で感染者が確認された「新種のコロナウイルス」。治療薬もワクチンも開発されていない現状。
ヒト―ヒト感染が確認されていなかったウイルス
2012年9月に新種のコロナウイルスが
はじめて確認されてから、少なくとも18人が死亡
(2013年5月13日現在)したという報道がありました。
これまではヒトからヒトへの感染が認められていない
ウイルスでした。
しかし今回、感染者と長時間にわたり至近距離で過ごす
「濃厚接触」があった場合、感染が起きる可能性がある
ことが明らかにされました。
現時点では中東とヨーロッパで35人が感染し、
死者18人のうち15人はサウジアラビアの患者でした。
2002~3年に香港などで流行し多くの死者を出した
新型肺炎『SARS(重症急性呼吸器症候群)』も
コロナウイルスの一種によるものであり、
今回の新型コロナウイルスとよく似ています。
新型コロナウイルスで起きる重篤な症状
これまで感染した患者には、
急性で重篤な呼吸器症状が見られました。
発熱や咳など、インフルエンザかと思われるような症状から
始まりますが、すぐに重症化して呼吸困難を起こし、
肺炎へ進行します。
一部の患者は急性腎不全を併発しました。
ヒト―ヒト感染の可能性は指摘されているものの、
SARSの時のような強い伝播性は、
今のところ確認されていないようです。
現時点では治療薬もワクチンも開発されていない
中国のトリインフルエンザにはタミフルが有効である
との報道もありましたが、コロナウイルスには、
まだ特効薬がありません。
サウジアラビアの患者を一例に挙げると、集中治療室で抗菌剤や
タミフルを投与されましたが、治療の甲斐なく
入院11日で死亡したとのことです。
ワクチンもまだ開発されておらず、現時点では
有効な予防方法がありません。
さらに恐ろしいことに、サウジアラビアなどでの
発症者数・死亡者数に関する情報はあいまいで、
全容がつかめていないため、
氷山の一角である可能性もなくはないというのです。
日本に上陸する可能性は
今のところ、日本国内で患者はみつかっていません。
しかし、これまでのケースの多くは、院内感染や家庭内感染などの
「濃厚接触」による感染であると考えられ、
今後、例えば国際線の飛行機などで長時間にわたり
患者の近くの席にいた場合、感染して日本国内に持ち込んでしまう
可能性は大いに考えられます。
いまだ詳細がつかめず、予防も不可能な中では、
感染が確認された地域にはむやみに渡航しないことが
必要かもしれません。