鉄分は不足しても過剰でも NG!鉄分の役割について知りましょう。
鉄分不足は貧血に
日本人の 1 日の鉄分の推奨摂取量は
男性で 10mg、女性は 12 mg です。
でも、実際の摂取量は国民栄養調査によると
男性は 7.6~8.0 mg、女性は 6.9~8.2 mg しかないんです。
つまり、日本人は慢性的な鉄分不足になっているんです。
鉄分不足になると、どういう影響が出るのでしょう。
鉄分というと、まず最初に思い浮かぶのは、貧血だと思います。
鉄分不足になると、貧血になるのは有名ですよね。
貧血は赤血球の成分である
ヘモグロビンが不足している状態のことです。
ヘモグロビンは、酸素と結びついて、
酸素を全身に供給する役割がありますが、
ヘモグロビンは鉄分を含むヘムという赤い色素と
グロビンというタンパク質からできている複合タンパク質です。
そのため、鉄分が不足すれば、
体内のヘモグロビンが作られないということになりますので、
貧血になってしまうんですね。
鉄分の大切な役割は?
鉄分の役割というと、貧血予防ばかりが注目を集めますが、
貧血予防以外にも鉄分には大切な役割があるんです。
1 つ目は、免疫機能の維持です。
体内の免疫システムは、細菌が侵入した時に
それを食べて殺す白血球が大きな役割を果たしています。
その白血球の一種に、食作用が強く、
急性の炎症が起こったときに中心的な役割を果たす
好中球がありますが、
その好中球は体内の鉄分が不足すると、
好中球の免疫能力が低下することがわかっています。
つまり、鉄分が体内の免疫機能の維持に
役立っているんですね。
2 つ目が活性酸素の除去です。
活性酸素は、正常な細胞を傷つけて
がん細胞の生成を促進したり、
老化が早まるなどの悪影響がありますが、
鉄分を含む酵素であるカタラーゼやスーパーオキシターゼは、
この活性酸素を分解する働きがあります。
鉄分の取りすぎは要注意!
慢性的な鉄分不足を解消するため、
サプリメントで鉄分を補給している人も多いと思いますが、
鉄分を過剰に摂取すると、
逆に健康に悪いことがわかっていますので注意が必要です。
適正な量の鉄分を接種することは活性酸素を除去しますが、
過剰な鉄分は活性酸素を増やしてしまうんです。
鉄分が余ってしまうと、それが酸化しますので、
活性酸素が発生しやすくなります。
また、吐き気や嘔吐、下痢、腸の損傷などの
胃腸障害を引き起こすこともありますし、
皮膚に鉄分が蓄積すると、
皮膚の色素沈着を起こすこともあります。
特に夜勤従事者は注意が必要です。
アメリカのユタ大学の研究によると、
夜勤従事者は体内リズムが狂いやすいので、
鉄分を過剰に取ると、体内時計の不調に拍車がかかり、
肝臓での代謝障害を引き起こす可能性があることがわかっています。
鉄分は不足してもダメ、過剰にとってもダメですので、
食べ物から鉄分を積極的に取るようにしましょう。
食べ物から鉄分を取れば、過剰摂取になることはありません。
もし、サプリメントから鉄分をとる場合は、
必ず適正量を守るようにしてくださいね。