楽しく飲んでいたはずなのに…。飲酒がエスカレートするとトラブルになりやすい理由とは?
上手に使いたいコミュニケーションツールとしてのお酒
最近は若い新入社員が平気で酒の誘いを断るようになった、
なんてボヤキも聞こえてきます。
とはいえ、昔も今も、
お酒が有効なコミュニケーションツールであることに
変わりはありません。
冠婚葬祭、歓送迎会、祝賀会などあらゆる場面で
お酒は登場しますし、ちょっと頑張った仕事帰りに、
仲間とのお疲れ様の一杯は次への活力にもなります。
お酒を飲むと楽しくなる理由は
お酒を飲むと楽しい気分になり、
普段より口も滑らかになります。
それは、アルコールが脳に作用しているためです。
口から摂取したアルコールの大半は、
小腸から吸収されて血液に入り、全身をめぐります。
そして脳まで循環すると、まず網様体が麻痺します。
理性をつかさどる大脳新皮質という部分の活動が低下し、
本能や感情の抑制が徐々に解除されます。
ほろ酔いのいい気分で少し気が大きくなるのが、
一般的にはビールの中ビンなら1~2本、
日本酒なら1~2合程度と言われています。
それと同時に、アルコールは脳内快楽物質である
ドーパミンの分泌を促します。
通常、ドーパミンが分泌されると、楽しくなりすぎないように
抑制するGABAという物質も分泌されるのですが、
アルコールはその分泌を弱めてしまいます。
要するに「楽しい」のたがが外れた状態になるのです。
アルコールが小脳へ作用すると運動能力が失われる
楽しく盛り上がっているうちはいいのですが、
多くの人に経験があるように、お酒が進むにしたがって
手足がおぼつかなくなり、ふらつくようになってきます。
これは、運動中枢である小脳に麻痺が及んだために起きる症状。
また、記憶をつかさどる海馬の部分に麻痺が及ぶと、
短期の記憶ができなくなってきます。
「さっきも聞いたよ」と延々繰り返される会話や、
タバコの2本点けなどの原因です。
翌朝になって、昨夜どうやって帰ったっけ?お会計したっけ?…
となるのもこのせいです。
酩酊期~泥酔期と呼ばれる状態で、人により差はありますが、
相手かまわず議論をふっかけたり、怒りっぽく喧嘩になったり
するのは、ほぼこの状態にさしかかってからです。
脳の、理性に関わる部分すべてが、広範囲にわたって
麻痺してしまっているためです。
適量が計れないからこそ飲み方に気をつけて
体格や体質によって、お酒の適量はまちまちです。
その日の体調によっても、
思わぬ酔い方をしてしまうことがあり、注意が必要です。
血中のアルコール濃度を急激に上げないよう、
空腹のまま飲み始めないことや、
アルコール飲料以外の水分補給を忘れないことを心がけましょう。
楽しい席を早めに切り上げるのは、なかなか難しいものですが、
だらだらと長時間飲んでいるのは、
脳への負担も大きくトラブルの元。
2、3時間程度を目安に、ひと盛り上がりして
サッと切り上げるのが、楽しいお酒のコツですよ。