以前より指摘されていた「肥満」と「肝ガン」の関係性がついに科学的に解明された!!
症状の出にくい「沈黙の臓器」肝臓
肝臓は強靭な臓器で、それゆえに患っても
症状が出にくい「沈黙の臓器」と呼ばれます。
人間の臓器の中でも、肝臓はたくさんの役割を持ちます。
私達が食べた物は、胃や腸で消化されて肝臓に送られ、
栄養素として色々な形に合成され、
動脈を通って体内の必要な場所に届けられます。
不要となった老廃物は、静脈を通って肝臓に戻され、
排出もしくは再利用されます。
アルコールや薬物、
有害物質などを分解するのも肝臓の仕事です。
肝臓は上記のような機能を持つため、食事やアルコール、
薬品などの影響を受けやすく、
肝ガンリスクを高める要因としてこれらが挙げられます。
また、血液の循環によりウイルスが運ばれて感染する肝炎
そして肥満が大きな要因として知られています。
肥満者の一部に、非アルコール性の脂肪性肝炎から肝硬変、
そして肝ガンへと進行するケースが見られるのです。
肥満が肝ガンの発症リスクである理由
今回明らかになったのは、
江東区・がん研究所のグループによる研究の結果、
肥満者の腸内では、「クロストリジウム」という細菌が
標準体重の人と比べて3,000倍以上にも増え、
胆汁の成分を変化させていたということでした。
この変質した胆汁が肝臓の細胞にストレスを与え老化を促し
発ガンを促すたんぱく質を周囲に分泌して、
ガンになりやすくしているというのです。
BMI(肥満度を示す数値)が25以上の人は、
正常値の人と比べて肝ガンにかかる可能性が
1.7倍に高まることがわかっています。
このことで、肥満防止がガンの抑制につながることと同時に
クロストリジウム菌をコントロールできれば、
発ガンのリスクを低くすることができるのが
わかったのです。
実験では、この菌を死滅させることで、
肝ガンの発症率が3分の1以下に下がったということです。
菌の除去でガンを予防できる?
菌がガンの発症に関わるといえば、
胃ガンの原因となるヘリコバクター・ピロリ菌が有名です。
胃ガン患者の98%がピロリ菌の保菌者であるといわれ、
除菌治療に保険が適用される範囲が広くなった
というニュースは記憶に新しいですね。
今回の、肝ガンにかかわる菌と肥満については、
マウスでの実験段階であり、
臨床試験などはまだまだ先の話ですが、
死亡率の高い肝ガンリスクの低下につながる情報が
見出されたのは朗報です。
今後のさらなる研究が期待されますね。