生のイカやサバはよく噛んで食べよう。都市部でも増えているアニサキス症にご注意
魚に寄生するアニサキス
アニサキスという寄生虫を知っていますか?
幼虫の全長はせいぜい1cmぐらいの小さな生物ですが、
生きたまま人間の体内に入ると、
胃や腸の中で暴れて粘膜を食い破り、
激痛をもたらすこともある乱暴者です。
平成20年には、日本国内で14件しか発生していない
アニサキス症ですが、平成24年には5倍に増えています。
アニサキス症による激しい痛みは丸1日程度でおさまるため
受診をしていない潜在的な患者数は
数10倍にのぼると見られています。
アニサキスが人間の体内に侵入するまで
アニサキスは、もともとはイルカやクジラなどの
海洋哺乳類の腸に寄生しています。
その便と共に海中に排出され、
それをエサとした魚類の内臓に寄生し、
またその魚をイルカやクジラがエサにする、
という循環の中に存在する寄生虫なのです。
ところが、人間の漁により、その循環を外れてしまいます。
アニサキスは生きた魚類の内臓に寄生し、
宿主が水揚げされると筋肉内に移動します。
新鮮な魚が流通するようになり、
私達はアニサキスも生きたままで口にしてしまう可能性が
増加したと言うわけです。
人間の体内での動き
アニサキスは人間の腸内に入っても
成長することができないので、
通常はそのまま排泄されてしまいます。
しかし稀に、粘膜を食い破り、
胃壁や腸壁にもぐりこんでしまうことがあるのです。
小腸などに穴を開けることもあります。
しかし、腸壁などを食い破られることが
激しい痛みの直接の原因ではありません。
アニサキスに対するアレルギー反応により、
胃壁や腸壁に腫れや出血を生じ、痛みを発するのです。
生食をしてもアニサキス症は防げる
アニサキスの幼虫が寄生する魚類は、
サバ・サケ・サンマ・イワシ・アジやスルメイカなど、
生食の機会が多いものばかりです。
スーパーなどでパックされて売られている刺身の表面に、
目視で確認できることもあります。
死滅させるには酢でしめても効果はなく、
加熱か冷凍する必要があります。
でも、新鮮な魚をお刺身でいただく魅力には
勝てませんよね。
冷凍をすると、食感も変わってしまいます。
そんな時、意外と効果的なのが「よく噛んで食べる」こと。
要は、アニサキスを生きたまま体内に入れなければ
問題はないので、噛み砕いてしまえばよいのです。
同じ理由で、細かく刻んでタタキにして食べるのも
良い方法です。
想像してしまうとちょっと気持ち悪いかもしれませんが、
アニサキス自体に毒性はなく不潔でもありませんので、
万が一のことを考えて、
よく噛まずに飲み込むのは避けるようにしましょう。